古くから庭の照明といえば石灯籠が用いられてきた。
日本においては仏教の伝来と同時に伝えられ、奈良の當麻寺に最古のものがある。
灯籠といえば頭に据えられた笠が光を反射し、足元を照らし道標となる役割がある。
庭の照明の基本は道筋を照らすという事に本分があると言える。
よく木の幹元からシンボルツリーを照らし上げる照明を見かける。
華やかな演出ではあるが、下からのライトアップはまるでスポットライトの趣で、木が自分のことを芸能人か何かかと勘違いしかねないので 、灯りは基本上から、低い位置に設置するとしてもあおりの角度にはしないようにしたい。
そして特定の木を狙わないよう、月明かりの様な品を持たせることを大事にしている。
木の枝にイルミネーションの豆電球などを巻き付けられた暁には、まるでドン・キホーテなどに売られている、”本日の主役”と書かれた安いタスキをかけられてしまったような面持ちを木がしているようにすら感じる。
もちろん、夜の庭に静けさを求めたいのか華やかさを楽しみたいのかは嗜好の問題なので絶対というものは無い。が、本来夜は静かに疲れを癒す時間。
光の扱い方にも心を配り、繁華街のような騒々しさは庭には決して持ち込みたくない。
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