庭というものは、自然との対峙なので図面上では設計仕切れない。
現場での必然性に導かれる時、良い庭が生まれる。
そして、設計の前段階として色んな制限や制約をまず理解しなければならない。
そこに気づかず、或いは無視して作られた庭はどこか居心地の悪さを醸し出す。
建築的条件、環境と風土、排水、借景、クライアントの嗜好、要望、用途。
答えは一つでは無いにしろ、制約が増えれば増える程、正解は絞られてくるもの。
図面の上だけでレイアウトを考えたデザイン、手練手管で自分の得意とするパターンを再現するに留めたデザイン、それだけでは場が本来もつ空気感にぴったりと波長の合う庭にはなり難い。
デザインをするという感覚、あるいは「作る」という感覚よりも、その場所が本来そうあるべきだった形を「探す」ような感覚が近い。
一本の木を植える場所を定めるにも、「あぁこの木はここに植えられるために在ったのか」と感じるような、一つの石を据えるにも、初めからその場所にあるべきだったものが無事あるべき場所に定まったかのような、必然性を感じさせる瞬間がある。
たぶんそういった、パズルのピースがピタとはまるような感覚というのは、庭だけにとどまらずあらゆる空間演出の骨髄のように思える。
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